法人の本店住所に変更がある場合、法務局・年金事務所・労働基準監督署・ハローワーク・税務署・都道府県税事務所・市町村役場などに届出を行う必要があります。当記事では、その手続きについてまとめています。

法務上の手続き(司法書士業務)

定款変更

法人の本店所在地は定款に必ず記載する事項(絶対的記載事項)です。そのため、本店所在地が変更になると定款も変更する必要があります。ただし、定款の本店所在地が「東京都品川区」と記載されている場合に、同じ東京都品川区内で本店の住所変更がある場合は、定款の変更は不要です。

株式会社では株主総会決議が必要(議事録を作成)

株式会社では定款の変更に株主総会の特別決議が必要です。株主総会後には株主総会議事録を作成して保管することが義務付けられています。

合同会社では総社員の同意が必要(同意書を作成)

合同会社では定款の変更に総社員の同意が必要です。実務上、総社員の同意があったことについて同意書を作成して保管します。

変更登記

法人の本店所在地は登記事項です。そのため、本店移転後2週間以内に法務局で変更登記が必要です。

労務上の手続き(社会保険労務士業務)

法人の本店住所に変更がある場合、社会保険は年金事務所、労災保険は労働基準監督署、雇用保険はハローワークにそれぞれ届出を出す必要があります。

年金事務所への届出

移転前の管轄の年金事務所
・本店移転を移転した旨の健康保険・厚生年金保険適用事業所名称/所在地変更(訂正)届を提出します。

労働基準監督署への届出

移転後の管轄の労働基準監督署
・本店移転を移転した旨の「労働保険名称、所在地等変更届」を提出します。

ハローワークへの届出

一元適用事業の場合(通常はこちら)

移転後の管轄のハローワーク
・労働基準監督署での手続きで入手した「労働保険名称、所在地等変更届」の控えと確認書類を添えて「雇用保険事業主事業所各種変更届」を、ハローワークに提出します。

二元適用事業の場合(労災保険と雇用保険を区別する農林漁業・建設業等)

移転後の管轄のハローワーク
「労働保険名称、所在地等変更届」及び「雇用保険事業主事業所各種変更届」を提出します。

税務上の手続き(税理士業務)

税務署・都税事務所・市町村役場に対する届出はスタンダード税理士法人で代行するため、顧問契約のあるお客様は対応不要です。

税務署への届出

移転前の管轄の税務署
・本店移転を移転した旨の異動届出書履歴事項全部証明書を添付)を提出します。

移転後の管轄の税務署
・届出は不要です。

都道府県税事務所への届出

同一都道府県内での移転の場合

移転前の管轄の都道府県税事務所
・本店移転を移転した旨の異動届履歴事項全部証明書を添付)を提出します。

移転後の管轄の都道府県税事務所
・届出は不要です。

他の都道府県への移転の場合

移転前の管轄の都道府県税事務所
・本店移転を移転した旨の異動届履歴事項全部証明書を添付)を提出します。

移転後の管轄の都道府県税事務所
・本店移転を移転した旨の法人設立・設置届出書履歴事項全部証明書定款を添付)を提出します。

東京都の例

市町村役場への届出

同一市町村内での移転の場合

市町村役場に本店移転を移転した旨の異動届履歴事項全部証明書を添付)を提出します。
※移転前後の市町村役場は同一です

他の市町村への移転の場合

移転前の管轄の市町村役場
・本店移転を移転した旨の異動届履歴事項全部証明書を添付)を提出します。

移転後の管轄の市町村役場
・本店移転を移転した旨の法人設立・設置届出書履歴事項全部証明書定款を添付)を提出します。

神奈川県横浜市の例