ここでは、法人口座をどのような基準で選べばいいのかを説明し、ネット銀行・ゆうちょ銀行・メガバンク・地方銀行・信用金庫の比較を行います。

当会計事務所では
ネット銀行で1口座(手数料が安く使い勝手が良い)
地方銀行又は信用金庫で1口座(口座振替や融資)
・必要に応じてメガバンクで1口座(社会的信用力など)
を開設することを推奨しています。

法人口座を選ぶ主な基準

①ネットバンキング

・法人口座ではネットバンキングが有料であることが多く、毎月発生するコストになります。
・月額料金が低いプランであれば、WEB明細の参照期間が非常に短く設定されています。
ネット銀行はネットバンキングが無料で参照期間も長いという特徴があります。

②他行への振込手数料

・銀行振込での支払いが多い場合、振込手数料も相当なコストになります。
ネット銀行は振込手数料が安い傾向にあります。

③Pay-easy(ペイジー)

・Pay-easy(ペイジー)に対応していると、ネットバンキングで税金、社会保険料、労働保険料などの支払いが可能です。
⇒主要ネット銀行のうち、住信SBIネット銀行とGMOあおぞらネット銀行は非対応です。

④口座振替

・社会保険料や労働保険料は口座振替が利用できます。また、税金はダイレクト納付(電子申告情報を利用して口座から引き落とす方法)で支払うことができます。
⇒メガバンクの対応状況が最も良く、ゆうちょ銀行・地方銀行・信用金庫は一部非対応、ネット銀行は基本的に非対応です。

⑤口座開設の難易度・社会的信用力

メガバンクは口座開設の難易度が高いですが、メガバンクの口座があれば取引先からの信用力を高めることができます。
・ネット銀行・ゆうちょ銀行・地方銀行・信用金庫は、創業期でも口座開設が比較的容易です。

⑥融資

・融資を受ける場合は、支店の場所を考慮する必要があります。また、メガバンクは大きな企業、地方銀行は中規模企業、信用金庫は中小企業や個人事業を主な融資対象としています。

【地方銀行・信用金庫】
地方銀行や信用金庫は地域が限定されますが、創業期でも融資が受けやすい傾向にあります。なお、信用金庫については、融資を受ける際に原則として出資をする必要があります。

【メガバンク】
・メガバンクは全国展開しているものの、融資の難易度が高く、融資を受けた後も業績が悪くなると早期に見切りをつけて資金回収に動く傾向にあります。

【ネット銀行】
・ネット銀行は融資相談を受けられず、上限金額も低く返済期間が短期であることが多く、創業期の融資には向いていません。
・日本政策金融公庫から融資を受ける場合、ネット銀行の口座には入金できません。
・経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)の加入を取り扱っていません。

【ゆうちょ銀行】
・ゆうちょ銀行は法人融資を行っていません。
・経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)の加入を取り扱っていません。

⑦その他

・楽天銀行では楽天関連、PayPay銀行ではPayPayやYahoo!関連といった具合に、優遇を受けられるサービスがあります。
・海外送金等の特殊な取引を行う場合は、その対応状況や手数料を考慮する必要があります

  メリット デメリット
ネット銀行

・24時間365日ネットバンキングが利用可能
・ネットバンキングが無料
・振込手数料が安い
・預金金利が高い

・取引先から信用力を低く見られることがある
・融資相談を受けられない

・日本政策金融公庫の融資の入金口座にできない

・社会保険、労働保険、税金の口座振替に非対応

・中小企業倒産防止共済の加入に非対応

ゆうちょ銀行

・全国に支店がある
・ネット銀行に次にネットバンキング利用料や振込手数料が安い

・預金の上限が1,300万円

・法人融資に対応していない

・労働保険の口座振替に非対応

・中小企業倒産防止共済の加入に非対応

メガバンク

・対応サービスの幅が広い

・取引先からの信用力が高まる
・高額な融資に対応できる
・全国に支店がある

・口座開設の難易度が高い

・中小企業の融資に消極的

地方銀行

・信用金庫の次に中小企業でも融資に柔軟に対応してもらえる

・地域が限定されている

・金利がやや高い

信用金庫

・中小企業でも融資に柔軟に対応してもらえる

・地域が限定されている

・金利が高い
・従業員300人以上又は資本金9億円超になると利用できない

・融資の際に出資が必要

法人口座の比較

具体的に、各金融機関を比較すると以下のようになります(金額は全て税込)。

ネット銀行

振込手数料が安く、Pay-easyや口座振替の対応が良いPayPay銀行がおすすめです。

 

ネットバンク

月額料金

他の金融機関宛の

振込料(3万円以上)

Pay-easy

(ペイジー)

社会保険・労働保険

税金の口座振替

楽天銀行 無料 229円 対応 非対応
PayPay銀行 無料 160円 対応 非対応
住信SBIネット銀行 無料 145円(無料条件あり) 非対応 非対応
GMOあおぞらネット銀行 無料 145円 非対応 非対応

楽天銀行
https://www.rakuten-bank.co.jp/business/howto/interest.html
PayPay銀行
https://www.paypay-bank.co.jp/business/fee/transfer.html?cr=ba_ss11v
住信SBIネット銀行
https://www.netbk.co.jp/contents/hojin/charge/
GMOあおぞらネット銀行
https://gmo-aozora.com/business/contents/fee.html

ゆうちょ銀行・メガバンク

ネットバンキングが無料で利用できるプランのある三井住友銀行がおすすめです。みずほ銀行は避けましょう。月額3,300円のビジネスWEBの入出金明細に預金残高が表示されず、非常に使いにくいです。

 

ネットバンク

月額料金

他の金融機関宛の

振込料(3万円以上)

Pay-easy

(ペイジー)

社会保険・労働保険

税金の口座振替

ゆうちょ銀行

550円(+初期費用5,500円)

165円 対応 労働保険に非対応
三菱UFJ銀行 1,760円~ 660円 対応 全て対応
三井住友銀行 無料~

660円

対応 全て対応
みずほ銀行 3,300円~ 660円 対応 全て対応

ゆうちょ銀行
https://www.jp-bank.japanpost.jp/hojin/smart/bizdirect/hj_smt_bd_ryokin.html
三菱UFJ銀行
https://bizstation.bk.mufg.jp/service/ryoukin.html
三井住友銀行
https://www.smbc.co.jp/hojin/eb/web21/ichiran.html
みずほ銀行
https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/ebservice/account/b_web/index.html

地方銀行

・東京、神奈川、千葉、埼玉の地方銀行を比較しています。なお、地方税の口座振替には、通常その地域の地方銀行のみが対応しているので注意が必要です。

 

ネットバンク

月額料金

他の金融機関宛の

振込料(3万円以上)

Pay-easy

(ペイジー)

社会保険・労働保険

税金の口座振替

きらぼし銀行 2,200円~ 550円 対応

対応

横浜銀行 2,200円~ 330円 対応

対応

千葉銀行 2,200円~ 330円 対応 対応
武蔵野銀行 2,200円~ 605円 対応 対応

きらぼし銀行(東京177拠点、神奈川50拠点)
https://www.kiraboshibank.co.jp/hojin/kouritsuka/biz-net/fee.html
横浜銀行(神奈川564拠点、東京76拠点)
https://www.boy.co.jp/hojin/eb/service/fee01.html
千葉銀行(千葉440拠点、東京19拠点)
https://www.chibabank.co.jp/webeb/about/
武蔵野銀行(埼玉93拠点)
http://www.musashinobank.co.jp/fee/

信用金庫

・東京、神奈川、千葉、埼玉の信用金庫を比較しています。なお、地方税の口座振替には、通常その地域の信用金庫のみが対応しているので注意が必要です。

 

ネットバンク

月額料金

他の金融機関宛の

振込料(3万円以上)

Pay-easy

(ペイジー)

社会保険・労働保険

税金の口座振替

城北信用金庫 1,100円~ 330円 対応 対応
城南信用金庫 1,100円~ 440円 対応 対応
横浜信用金庫 1,650円~ 660円 対応 対応
千葉信用金庫 1,100円~

440円(5万円以上)

対応

対応

埼玉縣信用金庫 2,200円~ 605円 対応 対応

城北信用金庫(東京北部~埼玉南部)
https://www.shinkin.co.jp/johoku/online/webfb/service/index.html
城南信用金庫(東京南部~神奈川北部)
https://www.jsbank.co.jp/support/commission/other.html
横浜信用金庫(神奈川)
https://www.yokoshin.co.jp/_other/fee/
千葉信用金庫(千葉)
https://www.shinkin.co.jp/chibaskb/ib_houjin/service/index.shtml
埼玉縣信用金庫(埼玉)
https://www.saishin.co.jp/tesuryo/#plink09

法人口座の審査のポイント

 法人口座の開設には審査があります。口座開設にあたって、審査に通りやすい条件を整えておきましょう。

①資本金

・資本金が小さいと審査に不利になります。資本金は最低でも100万円に設定しましょう。

②固定電話

固定電話番号を持っていると審査に通りやすくなります。また、一部の銀行では携帯電話番号での申し込みができないため、固定電話や050-IP電話の利用が必須になります。

③オフィス

会社住所は個室空間のあるオフィスの方が審査に通りやすくなります。一方、会社住所が自宅やシェアオフィスの場合は審査に通りにくくなります。

④ホームページ・独自ドメイン

しっかりとした自社ホームページがあると審査に通りやすくなります。ホームページは口座開設までに公開し、その際、独自ドメインのメールアドレスも取得しましょう。

⑤事業目的

・会社設立時に定款に事業目的を記載しますが、事業目的がある程度限定されていて、何をする会社なのか明確な方が審査に通りやすくなります。事業目的は10項目程度までに収めましょう。

⑥事業活動を示す資料

・事業が実際に行われていることを示す資料を求められることがあります。その場合は、資料を準備できるまで口座開設を待つ必要があります。