会計事務所では顧問先の規模に応じて毎月~数か月に1回のサイクルで月次決算を行い、売上や利益を確定させます。

当記事では月次決算を毎月行うことを前提として、マネーフォワード クラウド会計(個人の場合はマネーフォワード クラウド確定申告)を活用した月次決算実務について解説します。

月次決算のスケジュール

例えば8月の月次決算の場合、8月の会計資料を9月の月初~中旬に受領して会計処理を行います。その後必要に応じて不明点の確認や資料の追加依頼を行い、月次決算を確定させます。

■8月の月次決算スケジュール
9月第1週 顧問先から8月の会計資料を回収する
9月第2週 受領資料をもとに8月の会計処理を行う
9月第3週 会計処理の不明点について顧問先に確認する、不足資料の追加依頼を行う
9月第4週 8月月次の会計処理を確定させ、顧問先にその旨を報告する

①資料の回収(翌月第1週)

顧問先との間に設定したGoogleドライブの共有フォルダに、毎月○日までに前月分の会計資料を保存するように依頼しておきます。

【例】支払いの請求書 ※実際はここまで体系的なファイル名でないことも多い

受領した資料は勘定科目ごとのフォルダにファイルの命名規則に従って保存します。
・預金、カード、売上明細等の毎月受領する資料:ファイル名の末尾にYYMM(4桁)を付与
・その他随時受領する請求書等:ファイル名の頭にYYMM(4桁)を付与

【例】普通預金 ※命名規則に従い保存(ファイル名はF2で編集可能。Ctrl+C、Ctrl+V活用)

ファイルの保存体系や命名規則は全顧問先で統一しています。

マネーフォワードを直接参照するもの

一部の取引はマネーフォワードシリーズを直接参照するため資料回収が不要です。

売上関係(マネーフォワードクラウド請求書を発行したもの)
マネーフォワードクラウド請求書を参照

給与関係
マネーフォワードクラウド給与を参照

立替経費
マネーフォワードクラウド経費を参照

依頼資料を参照するもの

預金やクレジットカードの明細についても、クラウド会計に全取引が上手く連携されていないこともあり、正確な残高確認のため必ず回収を行います。なお、預金明細(ネット銀行以外の法人口座)や一部のカード明細(アメックスなど)は明細の出力可能期間やマネーフォワードへのAPI連携の参照期間が過去数か月に制限されているため、適時に出力や連携が必要です。

預金明細
・預金の入出金明細PDF(1か月単位または累計のものを、編集不可のPDF形式で出力)
※月末残高の確認のため必ず翌月1日以降に出力
※マネーフォワードへの連携が切れている場合はデータの再連携を依頼

クレジットカード明細
・カードの利用明細PDF(引き落とし金額が確定したものを、編集不可のPDF形式で出力)
※必ず明細確定日後に出力(月末締めカードの場合、翌月10日頃に確定するカードが多い)
※マネーフォワードへの連携が切れている場合はデータの再連携を依頼

売上関係(マネーフォワードクラウド請求書以外のもの)
取引先から請求書
下記のような取引は売上と費用の両建て計上が必要なため、売上明細csvや販売レポートPDFが必要です(1か月単位または期首からの累計で出力)。
・ECサイト(Amazon、Yahoo!、BASE、Shopify、Makuake、Ebayなど)
・電子決済(Stripe、Square、クレジットカード、QRコードなど)
・レジシステム(Airレジ、スマレジなど)

費用関係
例えば毎月定額でサブスク費用(チャットツールなど)が決済されている場合は、初回だけ請求書や領収書の確認を行えばそれで充分ですし、預金明細やカード明細の摘要だけで仕訳の判断が可能な少額決済について毎回証憑を確認することは実務的ではありません。一方で、業務委託料を請求書払いで振り込んでいるような場合は、請求書を確認しないと会計処理が行えないことがほとんどです。

特に下記のような取引は証憑の確認が必ず必要です。
・源泉所得税の徴収と納税が必要な取引
・固定資産や繰延資産の計上が必要な取引
・賃貸借契約で契約内容や初期費用の内訳(敷金、礼金、保証金)の確認が必要な取引
・車検(自動車税、自賠責保険)、司法書士報酬(登録免許税)など消費税の確認が必要な取引
・随時取引で適格請求書の確認が必要な取引(一般課税での消費税申告を行う場合)

②会計処理を行う(翌月第2週)

自動で仕訳① 経費・債務支払から入力(クラウド経費から連携)

顧問先がクラウド経費側で申請をした経費精算データは、クラウド会計側へ連携し、「自動で仕訳>経費・債務支払から入力から仕訳登録ができます。

手順の詳細】「経費・債務支払から入力」の使い方

この時、以下のことを確認して必要に応じて仕訳を編集してから登録します。

借方科目
・適切な勘定科目や消費税区分を使用している。
※「経費・債務支払」をクリックするとクラウド経費に添付された証憑を確認できます

貸方科目
・「未払金(補助科目:経費精算)」に設定されている。
※クラウド経費からの連携仕訳で貸方に計上する未払金(補助科目:経費精算)は、クラウド給与からの連携仕訳で借方に計上する未払金(補助科目:経費精算)と相殺されます

自動で仕訳② 給与から入力(クラウド給与から連携)

顧問先がクラウド給与側で「確定処理」をした給与データは、クラウド会計側へ連携し、「自動で仕訳>給与から入力から仕訳登録ができます。

【手順の詳細】給与から入力の使い方
【参考】給与・社会保険・労働保険の会計処理

対象となる給与データを選択し、勘定科目が適切なことを確認して仕訳登録を行います。
なお、クラウド給与側で給与明細が変更されると下記の画面にアラートが表示され、クラウド会計側の仕訳もアップデートできます。

支給項目
・役員報酬:「役員報酬」
・基本給:「給料賃金」
・時間外手当:「給料賃金(補助科目:残業手当)」
・通勤手当:「旅費交通費(補助科目:通勤手当)」
・立替経費:「未払金(補助科目:経費精算)」

控除項目/差引支給項目
・健康保険料 ~ 厚生年金保険料:「預り金(補助科目:社会保険料)」
・雇用保険料:「法定福利費(補助科目:労働保険料)」
・社宅使用料:「雑収入(補助科目:社宅使用料)」
・差引支給額:「未払費用(補助科目:給与賞与)」

会社負担項目
・健康保険料 ~ 厚生年金基金掛金:「法定福利費(補助科目:社会保険料)」

注意点① 子ども・子育て拠出金の端数

マネーフォワードの端数計算ロジック上、子ども子育て拠出金は実際の支払い額と端数(1円)がずれる可能性があるため、連携された金額が実際の支払額とずれている場合は仕訳登録前に修正を行います。

必要に応じて下記の金額を1円だけ手修正
【貸方】法定福利費(補助科目:社会保険料) 給与 子ども・子育て拠出金
【借方】未払費用(補助科目:社会保険料) 給与 未払費用(子ども・子育て拠出金)

注意点② 自動仕訳ルールの編集

クラウド給与側で給与明細に新項目が設定されると、クラウド会計側に連携される仕訳では勘定科目が未確定勘定になることがあります。その場合は「自動で仕訳>給与から入力>自動仕訳ルールで適切な勘定科目を割り当てます。

自動で仕訳③ 請求書から入力(クラウド請求書から連携)

売上の会計処理は「請求書に対応した売掛発生の仕訳」と「請求書に対応した入金予定の仕訳」の2つが必要です。クラウド会計とクラウド請求書を連携することでこれらを自動で作成できます。

手順の詳細マネーフォワード クラウド請求書連携機能の使い方

請求書に対応した売掛発生の仕訳

「自動で仕訳>請求書から入力でクラウド請求書に連動した売上計上の仕訳を登録します。

仕訳登録のタイミング
クラウド請求書側で請求書を作成すると、下書き状態であってもクラウド会計側で仕訳候補として表示されます。
一度仕訳として登録をしてしまうと、クラウド請求書側の情報を更新しても、登録した仕訳は更新されませんので、請求書の情報が確定したタイミングで仕訳登録します。

求書に対応した入金予定の仕訳

「自動で仕訳>連携サービスから入力で、入金情報と請求書情報をマッチングさせて売上入金の仕訳登録(売掛金の消込み)ができます。
前提として、入金口座がクラウド会計とデータ連携されている必要があります。

請求書に対応する入金情報を確認したら、以下の手順で仕訳登録を行います。
①「予定実現」の「実現」に✓を入れる
②「勘定科目」で対応する請求書情報を選択する(金額や請求書番号で検索可能)
③「登録」をクリックする

注意点① マッチング時(売掛金の消込み)の自動仕訳ルール

上記のマッチング(売掛金の消込み)を行うと、摘要を修正して仕訳登録しても自動仕訳ルールが自動登録されません。
自動仕訳ルールを登録したい場合は「自動で仕訳>連携サービスから入力>自動仕訳ルールから自動仕訳ルールを手動登録する必要があります。

注意点② マッチング(売掛金の消込み)を行わない場合の未実現仕訳

上記のマッチング(売掛金の消込み)を行わずに通常通り仕訳登録すると、仕訳帳に入金予定仕訳が表示されたままになります。
入金予定仕訳の「実現」をクリックすると、通常の入金仕訳とは別に入金仕訳が作成されて二重登録になるので、必ず削除しておきます。

注意点③ 売掛金の補助科目の設定

売掛金の取引先別の補助科目が適切に自動付与されていない場合は、「自動で仕訳>請求書から入力>自動仕訳設定>全体設定>クラウド請求書の取引先毎に科目を変更する」で、補助科目の設定を変更します。

自動で仕訳④ 連携サービスから入力(金融機関から連携)

クラウド会計に登録した金融機関(銀行口座やクレジットカード)からWEB明細を取得して、「日付」「金額」「摘要」を自動入力して仕訳を作成することができます。また、自動仕訳は勘定科目や摘要をカスタマイズできます。

手順の詳細「連携サービスから入力」画面の使い方

通常の仕訳入力

「自動で仕訳>連携サービスから入力に表示された仕訳候補について「登録」を選択すると仕訳が作成されます。金融機関から自動取得した摘要は、会計知識のある第三者が見れば仕訳を理解できるように「取引先」「利用サービス名」「取引内容」を明らかにして登録します。

【例1】摘要が「振替 クレジツト ミツイスミトモカ-ド」
・摘要:三井住友カード ⼝座振替
・勘定科目:未払金(補助科目:三井住友カード)
・税区分:対象外

【例2】摘要が「CITVPlus 東京都 渋⾕区」
・摘要:㈱グラントン CITVPlus 固定電話アプリ利用料
・勘定科目:通信費
・税区分:課仕 10%
・インボイス:適格

【例3】摘要が「GOOGLE*GSUITE・・」
・摘要:Google Asia Pacific Pte. Ltd. GoogleWorkspace クラウドストレージ他利⽤料
・勘定科目:通信費
・税区分:課仕 10%
・インボイス:適格

「詳細」を使った仕訳入力

「⑨ 詳細」を選択すると詳細な仕訳の編集メニューが表示され、特殊な仕訳登録ができます。
・複数行にまたがる仕訳を登録できる
・「自動仕訳ルールとして保存」の✓を外すことで、自動仕訳ルールの登録や上書きを行わず、例外的な仕訳に対処できる

手動で仕訳 振替伝票入力

マネーフォワードシリーズや金融機関からの連携ができない仕訳については手入力で会計処理を行います。

手順の詳細「振替伝票入力」画面の使い方

通常の仕訳入力

「手動で仕訳>振替伝票から入力で下記①~⑩の項目を手動で編集して「登録」を選択することで仕訳登録します。

振替伝票入力画面①

このような手動での仕訳登録の対象は、以下のような会計処理が想定されます。
・クラウド請求書を使用しない売上計上(ECサイト、電子決済、レジシステムなど)
・多数の行にまたがる複雑な費用計上(輸入消費税を含む取引など)
・減価償却費の計上
・決算整理仕訳(棚卸資産、貸倒引当金、消費税の相殺、法人税等)

「仕訳辞書」を使った仕訳入力

「② 仕訳辞書」を選択すると仕訳テンプレートを利用して仕訳登録ができます。「各種設定>仕訳辞書で再現性のある仕訳のテンプレートを登録しておくことで、早く正確に会計処理できます。

手順の詳細「仕訳辞書」画面の使い方
【参考】Q. 登録済の仕訳を仕訳辞書に登録できますか?

③貸借対照表(BS)の残高確認(翌月第2週)

「会計帳簿>残高試算表で表示できる残高試算表は、勘定科目や補助科目ごとの残高(累計額)を集計した帳票で、主に貸借対照表で預金や売掛金や借入金の残高(最新状況)を確認するのに使用します。

月次決算では、まず貸借対照表(BS)の勘定科目や補助科目ごとの月末残高を証憑の金額と一致させます。もし、金額に不整合があれば一致するように会計処理を修正します。
具体的には、補助科目名をクリックすると画面が補助元帳に遷移するので、その画面で証憑との金額一致の検証を行います(新しいタブを開きたい場合はCtrlを押したままクリック)。

資産科目

普通預金

金融機関別に設定された補助科目ごとに会計上の月末残高と預金明細の月末残高を比較します。

補助元帳 普通預金(金融機関)

預金明細(金融機関)

売掛金

取引先別に設定された補助科目ごとに会計上の月末残高と請求書を比較します。
納品日が7月付で支払期限が8月末の場合、7月末時点では請求金額が売掛金残高となり、8月末時点で入金によって0円なると想定されます。

なお、ECサイトや電子決済の売上がある場合、決済プラットフォーム別に補助科目を設定し、補助科目の残高と決済プラットフォームごとの売上明細を比較して売掛金を検証します。

補助元帳 売掛金(ABC社)

請求書(ABC社)

固定資産(減価償却資産)

取得した固定資産の内容が分かる請求書等を確認して会計処理を行い、固定資産システム(減価償却の達人)で減価償却計算を行います。
例えば一括償却資産は期末に取得資産を合算して減価償却費を計上(直接法)するため、期中は取得価額だけ残高が増加し、期末には帳簿価額と一致します。

その他、間接法で償却する有形固定資産は取得価額と減価償却累計額が固定資産台帳と一致し、直接法で償却する無形固定資産は簿価が固定資産台帳と一致します。

補助元帳 一括償却資産

領収書または請求書(一括償却資産)

固定資産台帳(一括償却資産)

差入保証金・敷金

不動産契約時に初期費用として保証金や敷金を支払うことがあります。その金額は賃貸借契約書や初期費用の請求書に記載されているため、証憑として残高検証に利用します。

賃料が月額190,000円に対して保証金が賃料の4か月分(760,000円)です。2か月分の賃料が残高になると想定されます。
・退去時に返金予定の2か月分(380,000円)は差入保証金
・退去時に償却予定の2か月分(380,000円)は長期前払費用(繰延資産)として償却計算

補助元帳 差入保証金

賃貸借契約書(差入保証金)

負債科目

未払金(クレジットカード)

カード別に設定された補助科目ごとに会計上の月末残高と預金明細の月末残高を比較します。
月末締め翌月25日払いのカードの場合、前月末残高が当月25日に預金から引き落とされ、当月末の未払金残高が当月末締めのカード利用明細の金額と一致します。

補助元帳 未払金(クレジットカード)

カード明細(NTTカード)

未払金(経費精算)

経費精算はクラウド経費から下記のような経費計上の仕訳が連携されます。
①(借方)旅費交通費など  100 (貸方)未払金・経費精算  100
経費精算をクラウド給与の給与明細に含めて精算する場合は下記の精算仕訳が連携されます。
②(借方)未払金・経費精算 100 (貸方)未払費用・給与賞与 100

従って、月末締めで経費申請し(①)、月末締め翌月25日支給の給与明細に経費精算を含めて給与計算を行う場合(②)、毎月月末に経費精算の残高が0円になると想定されます。

補助元帳 未払金(経費精算)

未払金(取引先)

中小企業の会計実務として、「期中現金主義・期末発生主義」(期中は現金主義で記帳を行い、期末に決算修正で未払金計上を行い発生主義会計に対応する会計処理方法)を採用することが一般的です。その場合、期中の未払金は基本的に0円となります。

ある程度会社の規模が大きくなると、月次決算でも未払金計上を行って期中発生主義へと移行することがありますが、その場合は売掛金と同様に取引先からの請求書を使用して残高検証を行います。

給与関係

マネーフォワードクラウド給与の「帳票一覧>支給控除一覧表で出力できる支給控除一覧表と勘定科目や補助科目を突合します。給与関係の科目で確認が必要なのは、「納付期限までに税金や社会保険料が納付されているか」「残高の推移に矛盾がないか」です。

支給控除一覧表
・所得税(控除):預り金(源泉税_給与士業)に対応
・住民税(控除):預り金(住民税)に対応 ※特別徴収を行う場合
・社会保険料合計:預り金(社会保険料)に対応
・振込支給額合計:未払費用(給与賞与)に対応
・健康保険料(会社)~子ども・子育て拠出金:未払費用(社会保険料)に対応

補助元帳 預り金(源泉税_給与士業)
給与から天引きされた源泉所得税は翌月10日まで(納期の特例対象の場合は1~6月支給分を7/10までに、7~12月支給分を翌年1/20まで)に納税します。
また、士業報酬についても源泉徴収が必要なため、預り金残高が蓄積して納税時に減少するという動きを繰り返します。納付期限までに納税できていない場合は要注意です。

補助元帳 預り金(住民税)
月末締め翌月25日支給で給与計算を行う場合、6月分末締め7月25日支給分から7月分の住民税を天引きし、8月10日までに納付します。従って、月末の預り金残高は1~2か月分の住民税です。

【参考】住民税の徴収方法
・住民税の納付期限は翌月10日(例:7月分の住民税は8月10日が納付期限)。
・住民税は当月に支給する給与から天引き(例:7月分の住民税は7月に支給する給与から天引き)。

A 月末締め翌月25日支給の場合(下図はAの場合)
・7月分の住民税は6月末締め7月25日支給の給与から控除
・7月分の住民税は8月10日が納付期限
預り金(住民税)の月末残高は原則1~2か月分(7月末までに納税すると1か月分)

B 月末締め当月25日支給の場合
・7月分の住民税は7月末締め7月25日支給の給与から控除
・7月分の住民税は8月10日が納付期限
預り金(住民税)の月末残高は原則0~1か月分(7月末までに納税すると0か月分)

補助元帳 預り金(社会保険料)※従業員負担分
月末締め翌月25日支給で給与計算を行う場合、7月分末締め8月25日支給分から7月分の社会保険料を天引きし、8月末に納付します。従って、月末の預り金残高は1か月分の社会保険料です。

【参考】原則的な社会保険料の徴収方法
・社会保険料の納付期限は翌月末日(例:7月分の社会保険料は8月末が納付期限)。
・社会保険料は翌月に支給する給与から天引き(例:7月分の社会保険料は8月に支給する給与から天引き)。

A 月末締め翌月25日支給の場合(下図はAの場合)
・7月分の社会保険料は7月末締め8月25日支給の給与から控除
・7月分の社会保険料は8月末が納付期限(月末が休日の場合は9月頭に納付する可能性あり)
預り金(社会保険料)の月末残高は原則1か月分 ※控除した翌月に納付するため

B 月末締め当月25日支給の場合
・7月分の社会保険料は8月末締め8月25日支給の給与から控除
・7月分の社会保険料は8月末が納付期限(月末が休日の場合は9月頭に納付する可能性あり)
預り金(社会保険料)の月末残高は原則0円 ※控除と同じ月に納付するため

④補助元帳 未払費用(社会保険料)※会社負担分
前述の通り、社会保険料は当月分を翌月末までに納付するので、未払費用(社会保険料)の月末残高は原則1か月分です。

補助元帳 未払費用(給与賞与)
月末締め翌月25日支給で給与計算を行う場合、翌月25日支給の「振込支給額合計」が給与賞与の当月末残高となります。そして翌月25日の支給時に残高が0円になると想定されます。

長期借入金

融資案件別に設定された補助科目ごとに会計上の月末残高と返済スケジュール表の月末残高を比較します。

補助元帳 長期借入金(融資案件)

返済スケジュール表(融資案件)

④損益計算書(PL)の推移確認(翌月第2週)

「会計帳簿>推移表で出力できる推移表は、会計数値の月ごとの推移をまとめた帳票です。主に損益計算書で毎月の売上や利益の推移を確認するのに使用します。

月次決算では、貸借対照表(BS)の残高が正しいことを前提に損益計算書(PL)の妥当性を検証します。もし、不適切な仕訳があれば正しい会計処理に修正します。

検証方法①
勘定科目や補助科目が下記のような異常な推移をしていないかを確認します。
・通常は金額的に小さい費用が特定の月だけ多額に発生している
・役員報酬、地代家賃、減価償却費等の定額推移する費用に変動がある

検証方法②
補助科目名をクリックすると画面が補助元帳に遷移するので、時系列で会計処理を精査します(新しいタブを開きたい場合はCtrlを押したままクリック)。
・勘定科目や補助科目の妥当性、過去の会計処理との整合性
・期間帰属や費用収益対応の正確性、固定資産計上の要否
・純額計上の妥当性(収益と費用の総額計上が必要ではないか)
・消費税区分やインボイス登録状況の正確性
※消費税は「決算・申告>消費税集計>勘定科目別税区分集計表」を参照するのも効果的

⑤不明点の確認や不足資料の追加依頼(翌月第3週)

顧問先から受領した資料を元に月次決算(仕訳登録、BS/PLの妥当性検証)をできる範囲で完了させた後は、不明点の確認と不足資料の追加依頼を行います。不明点の確認を行う場合は、「取引日」「取引金額」「決済方法」「取引先名」等の対象取引を特定しやす情報を明示します。

確認事項が少ない場合
例えば確認事項が数件の場合、チャットツールに箇条書きで送る方法でも問題ないでしょう。

確認事項が多い場合
チャットツールに多数の確認事項を記載すると回答漏れが起こりやすいため、ある程度の数が予想される顧問先は、Googleスプレッドシートに月次決算の質問事項をまとめて連絡するようにルーチン化します。

⑥確認事項や追加依頼資料の反映(翌月第4週)

不明点の確認や不足資料の追加依頼に対する回答が得られたら、それらを会計処理に反映させます。その後、貸借対照表(BS)の残高確認や損益計算書(PL)の推移確認を再度行い、問題が無ければ月次決算が確定します。

マネーフォワードクラウド会計では顧問先が各種帳票をリアルタイムで閲覧できるため、月次決算が完了した旨を伝達すれば、それだけで情報共有ができます。

なお、ビジネスプランを契約している場合は「会計帳簿>帳簿管理で仕訳入力の制限日付を設定して誤編集を防止できるため、必要に応じてこの機能を活用します。