ここでは、最も一般的な月末締め・翌月支給の会社の人件費関係の会計処理をまとめています。次のような給与(1月末締め、2月25日支給)の仕訳を例示します。

経費精算(1月末)

従業員が個人で立て替えた経費を集計します。貸方の④未払金(経費精算)は給与の支給額に含める形で精算されます。
※経費精算システムから自動仕訳が作成されるようにマネーフォワードを設定します

借方貸方
旅費交通費30,000④未払金(経費精算)50,000
接待交際費10,000
福利厚生費5,000
雑費 など5,000


給与明細の作成(1月末

(1)給与台帳の金額を転記して仕訳を作成します。給与・通勤手当・立替経費から社会保険料・労働保険料・所得税・住民税を控除し、差引支給額が⑪未払費用(給与賞与)です。
※給与明細から自動仕訳が作成されるようにマネーフォワードを設定します

借方貸方
①役員報酬500,000⑤預り金(社会保険料)49,200
②給料賃金500,000⑥預り金(社会保険料)4,500
③旅費交通費20,000⑦預り金(社会保険料)91,500
④未払金(経費精算)50,000⑧法定福利費(労働保険料)1,530
⑨預り金(給与士業 源泉税)37,430
⑩預り金(住民税)60,000
⑪未払費用(給与賞与)825,840
※ ④健康保険料、⑤介護保険料、⑥厚生年金保険料の従業員負担額


(2)社会保険料は会社と従業員で折半するので、会社負担分の社会保険料を計上します。
※給与明細から自動仕訳が作成されるようにマネーフォワードを設定します

借方貸方
⑫法定福利費(社会保険料)49,200⑫未払費用(社会保険料)49,200
⑬法定福利費(社会保険料)4,500⑬未払費用(社会保険料)4,500
⑭法定福利費(社会保険料)91,500⑭未払費用(社会保険料)91,500
⑮法定福利費(社会保険料)3,600⑮未払費用(社会保険料)3,600
※ ⑪健康保険料、⑫介護保険料、⑬厚生年金保険料、⑭子ども・子育て拠出金の会社負担額


給与の支給(2月25日

2(給与明細)の差引支給額である未払費用(給与賞与)が給与支給時に精算されます。

借方貸方
⑪未払費用(給与賞与)825,840普通預金など825,840


社会保険料の納付(2月末が期限

2(給与明細)で給与から天引きした社会保険料と会社負担分の社会保険料が納付時に精算されます。1月分の社会保険料は2月支給の給与から控除し、2月末までに納付します。

借方貸方
⑤~⑦預り金(社会保険料)145,200普通預金など294,000
⑫~⑮未払費用(社会保険料)148,800
※ ⑤~⑦預り金(社会保険料)は従業員負担分、⑫~⑮未払費用(社会保険料)は会社負担分の合計


住民税・源泉所得税の納付3月10日が期限

2(給与明細)で給与から天引きした住民税が納付時に精算されます。2月分の住民税は2月支給の給与から控除して3月10日までに納付します。

借方貸方
⑩預り金(住民税)60,000普通預金など60,000
※ 社員数が10人未満の会社では、6/10と12/10の年2回納付に変更可能


2(給与明細)で給与から天引きした所得税が納付時に精算されます。2月支給の給与から控除した所得税は3月10日までに納付します。個人の士業(税理士など)や経営コンサルタントの報酬を支払った場合も給与と合わせて源泉税を納付します。

借方貸方
⑨預り金(給与士業 源泉税)37,430普通預金など37,430
※ 社員数が10人未満の会社では、7/10と1/20の年2回納付に変更可能


なお、デザイン料、原稿料、写真撮影料、出演料といった一定の報酬を個人事業主に対して2月に支払った場合は、その源泉税も3月10日までに納付します。

借方貸方
預り金(報酬料金 源泉税)XXX普通預金などXXX


労働保険料の納付

労働保険料は会社と従業員がそれぞれ負担します。労働保険料の納付時の費用は、2(給与明細)で給与から控除した従業員負担分と相殺されます。

借方貸方
法定福利費(労働保険料)XXX普通預金などXXX
※ 労働保険料は一括納付と分割納付が選択可能